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国際協力NGO「日本国際ボランティアセンター(JVC)」のスタッフ・インターンが綴る、あんなことやこんなこと。

映画『シード ~生命の糧~』特別先行試写会&ミニトーク イベントレポート

 皆さんこんにちは!!広報インターンの三浦です。

 

今日、6月14日に行われたイベント、映画『シード ~生命の糧~』特別先行試写会&ミニトークについて報告したいと思います。

 

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今回は、映画『シード ~生命の糧~』の配給元であるユナイテッドピープル株式会社さんのご協力によって特別先行試写会をやることができました。また上映後に南アフリカ事業担当/地域開発グループマネージャーである渡辺直子さんが、南アフリカの農村での取り組みについてお話しました。

 

 

 試写会】

 

現代、人類史上で最も急速に種子の多様性が失われ、20世紀の間に種子の94%が消滅したと言われています。一体何が起きているのでしょうか。

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人類は1万2千年もの間、多種多様な種子を代々受け継いできました。しかし、20世紀に入ると事態は大きく変化。ハイブリッド種の誕生です。異なる品種を掛け合わせ親の優れた性質だけを受け継いだハイブリッド種は、環境に強く多くの収穫をもたらす一方、一代限りのため、次の世代に種子を受け継がせることができません。企業によって強力なハイブリット種が生み出された結果、天然の種子が淘汰されつつあります。また、ハイブリット種に使われる農薬の有毒性が問題視されています。

 

さらに近年は遺伝子組み換え作物(GMO)が発明され、自然環境や天然の種子に及ぼす危険性の高さも指摘されています。

 

本来、種子とは人類共通の財産であるべきですが、今や化学薬品メーカーを中心とする少数の大企業が特許を取ることでその所有権を独占してしまっています。穀物をはじめ多くの種子は「食料」ではなく、市場で取引される「金融商品」となりました。企業にとっての主眼はいかに利益を上げるかであり、種子の多様性は二の次です。

 

 

【ミニトーク

上映後、南アフリカ事業担当/地域開発グループマネージャーである渡辺直子さんが、南アフリカの農村での取り組みについてお話をしました。渡辺さんによると、南ア政府は当初、農村支援としてハイブリッド種を農村に配布支援していました。しかし、その地域の環境に適した種子でなかった為、土壌の悪化を招いてしまったのです。

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渡辺さんによる南アでの活動説明


また、種子と化学肥料の購入負担が重くのしかかってしまい、農村の自立を促すどころか彼らの多くは借金を抱えるようになりました。こうした出来事は、その地域に昔から根付いてきた天然種子の大切さを見直すきっかけになりました。JVC環境保全型農業の推進を呼びかけており、天然の種子を使うことが持続可能性という視点においても、また農業で暮らす人々にとっても最も大切であると考えています。

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現地の野菜づくりの様子

 

【イベントを終えて】

この映画は、「食と農」という身近だが気づきにくい問題に対して警鐘を鳴らしています。世界中で多様性の大切さが訴えられていますが、種子の多様性という視点を持っている人は少ないのではないでしょうか?

 

勿論、マイナスの側面だけを強調するのは、フェアではありません。いわゆる「緑の革命」をはじめとする一連の農業革命は、品種改良と化学肥料を使うことで穀物の生産性を爆発的にあげました。その結果、食糧危機に苦しんでいた何億人という貧困層の命が救われ、功労者の一人であるノーマン・ボーローグは「奇跡の小麦」と呼ばれる品種を開発したことを評価され、1970年にノーベル平和賞を受賞しました。食糧安全保障という点で、人類は過去70年間ではるかに豊かになりました。こうした功績に関して映画はあまり触れていませんが、決して過少評価するべきではないとは思います。

 

 

【自分たちに何ができるのか?】

その一方で、我々は大きな転換点に立たされているとも感じました。映画を観て考えたのは「豊かさ」とは何なのか?ということでした。幸運なことに、現代日本はかつてないほどの物質的な「豊かさ」を享受しています。しかし、「だから我々は豊かだ!」と言い切れるのでしょうか。

 

例えば、トマトで考えてみましょう。トマトの国内シェアの約70%以上が「桃太郎」という品種で占められています。色々な農家さんが日本各地でトマトを作っているのに、どこのスーパーに行ってもあるのは大体一種類、「桃太郎」だけです。

 

対照的なのがヨーロッパの市場です。数年前にスペインのバルセロナに旅行で行った時、その市場の活気さに加え、品揃えの豊富さにも驚かされたのをよく覚えています。例えば、同じトマトでも種類が何十種類以上もあり、中にはトマトだけでワンコーナー占めている場所もあります。これはサラダ用、これは酸っぱいのでトマトソースに向いている、これは果肉が厚いので詰め物に、と調理に合わせて様々なトマトが存在しています。そこに豊かさのヒントがあるように感じます。

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つまり、豊かさとは「量」ではなくその「多様性」にあるのではないでしょうか。いくらモノが大量にあっても一種類しか選べないのであれば、それはある意味「貧しい」です。沢山の選択肢の中から好きなものを自由に選べる社会、それこそが本当の「豊かさ」だと私は思います!!

 

「種はタイムカプセルだ。」という言葉が映画の中に登場します。種子は過去の情報を保存して未来に実りをもたらしてくれます。種子が消滅するということは、子孫に残すべき未来が消滅するということです。今からでも遅くはないはずです。少しでも多くの可能性を残してあげることが、私たちの未来への義務ではないでしょうか

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種子に起きている危機は見えにくいですが、今も確実に進んでいます。この問題に無関係な人はいません。映画は6月29日(土)よりシアター・イメージフォーラム他、全国順次ロードショーです。皆さんもぜひ映画館に足を運んで、種の問題について考えてみください!!



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