世界の現場から~JVCの中の人ブログ~

国際協力NGO「日本国際ボランティアセンター(JVC)」のスタッフ・インターンが綴る、あんなことやこんなこと。

ニュージランドでのモスク襲撃事件から多文化共生を考える-日本では?イラクでは?

 こんにちは!2019年度広報インターンの守屋です。JVCイラク事業では、多様なバックグラウンドを持つ子どもたちが共生を学ぶワークショップをサポートしています。

 今回、ニュージーランドで起きた襲撃事件を受けて、移民が増えつつある日本でも多文化共生を考えてみようとイベントが開催されました。インターン生として参加してみて、感じたことをブログでシェアしていきたいと思います!

 

 

ニュージーランドで起きたモスク襲撃事件について】

 まずは、今回のイベント開催のきっかけにもなったニュージーランドのモスク襲撃事件について考えていきたいと思います。ニュージーランドクライストチャーチ出身であり、10年間日本に住んでいるエリザベス・ステニング氏からお話していただきました。

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襲撃事件について説明するエリザベス・ステニング氏

 事件は2019年3月15日、ニュージーランド南中部のクライストチャーチで発生しました。イスラム教徒の礼拝が行われているモスクとイスラムセンターの2か所で武装した男が銃を乱射し、わずか1時間で50人の命が奪われるという同国史上最悪と言われる事件となりました。私自身ニュージーランドについてあまり知らなかったのですが、ニュージーランドの人口は全体の約25%が移民であり、多様な人種、宗教の人が共存しているそうです。留学経験のある参加者は「ニュージーランドに行くと、外国人の自分を家族のように受け入れてくれる。」と語るほど、他者を受け入れる意識が高い国だということがわかりました。

 では、一体なぜニュージーランドのような国で他者を攻撃するテロ事件は起こってしまったのでしょうか?そこには実行犯が持つ他者に対する考え方が大きく関わっていました。実行犯がテロを行動に移すまでに至った背景には、白人至上主義を根底に持ち、宗教や人種の違う移民が自分たちの生活を脅かすという過激な思想にインターネットを通して共感してしまったという事実があります。

 

 

 

【これからの日本にも起こりえる?】

 様々な価値観を持つ人が共生する「多文化共生」を実現するためにはどうしたらいいのか、また今回の襲撃事件から日本が学ぶべきことについて明治学院大学准教授 長谷部美佳先生のお話を基に議論が行われました。

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明治学院大学准教授長谷部先生による講演

 私たち日本人にとって「外国人」というと留学生や旅行者といったイメージが一般的ではないかと思います。しかし、現在、日本に長期的に住んでいる外国人の数は140万人と言われ、在留外国人全体の6割を占めています。半数以上が日本に定住しているという事実には驚くと同時に、会社や学校の中で海外にルーツのある人を目にすることは少なくないなと思いました。

今年の4月には外国人に対する法律が改正され、この先日本に長期的に滞在する可能性のある外国人はさらに増えていく可能性が高いと言われています。外国人が増えるということは様々な文化や価値観の人々と出会う機会が増えるということになり、今後、日本はニュージーランドと同様に「多文化共生社会」へ向かっていくと考えられます。

 しかし、日本にはすでに外国人を「自分たちとは異なる存在」として差別する動きがあることが問題視されています。具体的にここ最近起きた事件を挙げると、クルド人少女に対するいじめやフィリピンにルーツを持つ少女が自殺に追い込まれるなどの事件が起きています。また、在日コリアン李信江さんに対する脅迫などもあり、最近の出来事だけをみても外国人を差別する傾向は強そうです。

日本でテロなんて起こらないと考えている人も多いかも知れませんが、テロが起きた原因には国籍や人種、宗教の違いを認めず、排除するという差別が根底にあることを考えると、日本においても無意識に他者を差別している可能性を認識しなければと考えさせられました。

 

【「違うことが当たり前」の価値観を育てるためには】

 では、様々な価値観を持つ人々が同じ社会で暮らす「多文化共生」を実現するためにこれから私たちはどうするべきなのでしょうか?

 多様性が共存するニュージーランドでは小さいころから違うことが当たり前であり、見た目や宗教の違いによって人々を区別することがない価値観が根付いています。

参加者からは「今後の日本を担う子どもたちに教育を通して、多様な価値観を認められるようになってほしい。」「このような問題に興味がない人に関心を持ってもらうためには。」といった意見が多く出ました。今回の議論では、特に学校教育の中で子どもたちが表面的な違いにこだわらずに他者を受け入れる心を持つことが今後の日本において重要だという観点から、教育についての意見も多く述べられました。結論がはっきり出た訳ではありませんが、次世代の子どもたちがお互いに尊重しあえる社会を作るための話し合いは継続して行っていかなければならないと思いました。

また、それらを発信することで差別や今の社会について考えるきっかけになればと思います。島国であり、移民が少ない日本では、「外国人」というレッテルを貼ってしまいがちなのは事実です。私たち日本人も日本から外に出てしまえば、外国人であり、私たちの常識は当たり前ではないことを知る必要があると強く感じました。

 

【自分事として考える】

 皆さんは自分の身の回りにいる海外にルーツがある人について考えたことはありますか?これから様々な人と出会う機会が増えていく時、多文化共生についてぜひ考えてみてほしいと思います。ニュージーランドで起こった悲劇が二度と繰り返されることのないよう自分事として捉え、自分自身の価値観を振り返ってみてほしいと思います。

 

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