世界の現場から~JVCの中の人ブログ~

国際協力NGO「日本国際ボランティアセンター(JVC)」のスタッフ・インターンが綴る、あんなことやこんなこと。

パレスチナって、どんなところ? インターンが実際に行ってみた。

 

みなさま、こんにちは🕊
今年度のパレスチナ事業インターン、大下と申します。

いきなりですが、みなさまはパレスチナと聞いて、何を連想されるでしょうか。
そもそもどこ? 全然知らない、、という方も多いのではないでしょうか。

 

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そんな日本の多くの人たちにとっては未知なる地であろう、パレスチナ
事業インターンとして、わたしは8月に10日間ほど、実際に足を運んでみることにしました。


そこで今回は現地を訪れてみて感じたこと、考えたことをシェアしてみようと思います。

 

パレスチナってどこ?

まずは、基本的な情報から。

中東、イスラエルの辺りにあるパレスチナ
少し太い点線で囲まれた「ヨルダン川西岸地区 (WEST BANK)」と「ガザ地区 (GAZA STRIP)」と書かれた部分です。

人口は480万人ほどで、福岡県よりやや少ないくらい。
面積は6,220 km²ほどで、茨城県よりも少し大きいくらいです。
使われている言語はアラビア語

日本からの直行便はなく、香港やモスクワなどを経由して一度イスラエルに入り、そこからパレスチナへ向かうというのが一般的です。

 

パレスチナは危険? いえいえ、行けます!

終わらない占領に、時に起こる衝突。
パレスチナといえば、中には危険な場所というイメージを持たれる方もいらっしゃるかもしれません。
わたしも周りの人に現地へ行くことを話すと「治安は大丈夫なの?」と心配されました。

 

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ヨルダン川西岸地区にあるヘブロン旧市街にはお洋服や野菜まで、たくさんの商品が並びます。

 



ですが実際に足を運んでみると、そこにあるのは人びとの「日常」。
みんな普段は日本のわたしたちと同じように仕事をしたり、学んだり、家族やお友だちと過ごしている様子でした。

 

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ヨルダン川西岸北部の都市、ナブルスにて。名物のクナーファと呼ばれるお菓子を食べる「スイーツ男子」たち。


場所こそ日本からすごく近いというわけではありませんが、一度着いてしまえばとても過ごしやすいです。
ここまで気軽に行けるなら、もっと早く行っていればよかった〜! と痛感。

 

魅力もたくさん!

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ベツレヘムにある降誕教会。イエス・キリストが生まれた場所に作られています。


パレスチナには、純粋に素敵なところがたくさんあります。

旧市街に並ぶ石造りの建物は、歴史を感じさせます。
どの街に行っても少しずつ雰囲気が違うのも魅力。
実はたくさんある観光スポットも見逃せません。

 

 

また、人がとても優しいのもパレスチナの特徴。
これは現地にいたことのある人なら口を揃えて言うことですが、本当にその通りでした。

小さい子からちょっと強面のお兄ちゃんまで、みんな外国人観光客感満載のわたしを珍しがり、声を掛けてくれます。
一人で歩いていても困ることはなく、わからないことは大体教えてくれます。

 

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ラマッラーにあるアラファト元議長の霊廟にて。写真を撮った後、警備のお兄さんの一人が「どこからきたの? パレスチナはどう?」と声をかけてくれました。

 

さらにさらに、お土産にしたい美しい陶器やパレスチナ刺繍の雑貨もいっぱい。

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ヘブロンにある工房にて。おじさんが陶磁器に一つひとつ細かく色付けをしていきますここで作られた商品がパレスチナ中のお土産屋さんに並んでいるのだとか。


10日程度の決して長くはない滞在でしたが、わたしにとってパレスチナはまた何度も「帰りたくなる場所」となりました。

 

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ヘブロン旧市街のお土産物ストリート。すてきなものが多すぎて、この場所ごと日本に持って帰りたいくらいでした。

 

占領が「日常」パレスチナ

とはいえ、普通に滞在しているだけで「占領」を感じることも。

 

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パレスチナイスラエルを分離する壁。国際的に認められている両地域の境界線(グリーンライン)上ではなく、西岸に食い込んで作られています。パレスチナの土地を奪ったりコミュニティを分断してしまうということも。高さは8メートルほど。写真中央にいる人と比べてみてください。

 
分離壁や間にある無機質な検問所は、すぐに見慣れたものとなります。
難民キャンプもパレスチナでは当たり前のような存在。

 

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ベツレヘムにあるアーイダ難民キャンプ。「キャンプ」という名前ですが、70年近くこの場所にあるため、小さな町に近いイメージです。

 
現地の人たちが見聞きした壮絶な体験もたくさん聞きました。

「この前、ここでイスラエルのバスにぶつかった車の運転手(パレスチナ人)が、その場でイスラエル兵に射殺されたんだ」
そうわたしに教えてくれたおじちゃん、兄弟は国外に暮らしているとのこと。パレスチナでの苦しい生活は、家族をも離れ離れにします。

「占領」の感覚に思いを馳せてみますが、わたしにはとても想像しきれないこともたくさんあります。
わたしはイスラエルの人にとっても、パレスチナの人にとっても「外国人」。
ここでは「蚊帳の外」の人間であり、身が狙われることは基本的にはありません。

 

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ヘブロンには、イスラエルの入植者しか立ち入ることのできないエリアがあります。写真はその境界近くで撮ったもの。パレスチナのお母さんと女の子たちが歩く奥に見えるのは、警備を行なっているイスラエル兵です。

 

検問所でパレスチナからイスラエルに向かう際に求められる身分証の提示。
外国人のパスポートを見せれば一瞬で通過できます。
私に対して「どこから来たの?」、「ようこそ」と笑顔で話しかけてくれるイスラエル兵も。

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ランディア検問所。イスラエルパレスチナの間を行き交う際には、このような場所を通る必要があります。パレスチナ側からイスラエルへ向かう場合のみ、中では荷物検査や身分証のチェックが行われます。


また、わたしが現地にいたのはほんの10日ほど。
わたしには「安全な帰る場所」が保障されています。

パレスチナが自分の故郷で、大切な人がたくさんいて、ここで暮らすほかなかったら…

どんなに素敵な場所でも、わたしにはとても耐えられないのではないか。
そんなことを常に考えさせられる滞在でもありました。

  

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ナブルスの街角でひなたぼっこをするねこちゃん。

 

渡航報告会も企画中!

いかがでしたでしょうか。
拙い文章と写真でもっとうまく伝えられたらいいのに〜と思っておりますが、、😭
パレスチナにもいろいろな顔があるということ、少しでも感じていただけていればとても嬉しいです!

 

12月ごろには渡航報告会の開催を企画中です💡
わたしのほか、夏に現地を訪れたインターンなど数名で、パレスチナのことをたっぷりお話する予定です。
パレスチナについてもっと知ってみたい方、実際に旅行を計画されている方などにぜひ、いらしていただきたいと思っております。

詳細については随時、JVCパレスチナ事業のFacebookページなどで発信して参ります。
そちらもぜひフォローしていただけると嬉しいです☺️


パレスチナのこと、そしてわたしたちにできそうなこと、これからも一緒により多くの人と一緒に考えていきたいと思います!

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